年表

96) 還暦 [自伝本『私のこと』]

楽しかったハワイ旅行の翌年 5月、父は還暦を迎えた。
 
日本における還暦の祝いには
かつて 魔除けの意味で、産着に赤色が使われていたため
再び生まれた時に帰る、という考え方から
本人に赤色の衣服(頭巾やちゃんちゃんこなど)を贈る習慣がある。
 
現代において、60才は まだまだ現役な方も多く
まさか “ちゃんちゃんこ” を贈るわけもいかず(カッコ悪いし・・・)
私は、考えた。
 
もらって うれしい物・・・。
もらったことのない物・・・。
赤い物・・・。
 
私は ひらめき、早速 花屋に出掛けた。
『60本の真赤なバラの花束』 に決めたのだ。
 
花屋で見ても、60本の束は、結構な大きさになるが
それを 綺麗な花束に作っていくと、大人でも抱えるのが大変でしょう、と
花屋のお兄さんが、微笑みながら教えてくれた。
 
父の誕生日の夜、花が届いたと電話をくれた。
受話器の向こうで、泣いているのがわかった。
「花なんか もらったことなかった・・・。
あんまり大きくて、抱えきれなかったぞ・・・。」
 
作戦は 大成功だった。
 
しばらくは、家中が真赤な花だらけになったそうだが
その後、ドライフラワーにするために
あちらこちらに 吊るされていたそうだ。
 
父も母も、いろんな楽しみ方で満喫してくれた。
 
そして、2年後の母の還暦には、お手入れも楽しめるかと思い
『シャコバサボテン』 の大きな鉢植えを2色、誕生日に贈った。
真赤な花を咲かせる鉢と、真白な花を咲かせる鉢で
育てながら、丁度 満開になっていった。
 
人生100年 の時代である。
彼らにとって 還暦なんて、満開そのものであっただろう。
 
 
 

2009年11月06日(金)

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