年表

108) 決意 [自伝本『私のこと』]

自分のフィールドを考え始めた私は、まず 専務に相談した。
専務は ビックリする様子もなく、「そんな時期が来たんだね。」 と微笑んでくれた。
 
辞める日については、追々決めることにした。
なぜなら、今後の講習予定が 約一年先までスケジュールされていたからだ。
 
それに、大事なことがもう一つ。
次期店長ポストを育てることだった。
 
実は、技術者を育てる以上に大変なことだった。
店長という仕事は、自分の売上成績は勿論のこと 一店舗全体の売上の把握・指導、
レッスンなどのスケジュールの決定、各係の管理、
それらを統括する店長会議の出席・意見発表・・・
などなど たくさんの仕事をこなさなくてはいけないが
一番大切な要素は、スタッフと社長に信頼されることである。
 
一般的に 店長というポストは、なるべき人が就くことがベストである。
今回のように、まさか私が辞めるとは思っていないスタッフの中で
私が辞めることを前提に考え、次期店長に覚悟してもらわなければならない。
社長に対しても、納得できる実績を積む必要がある。
 
専務との話でも この話題になった。
私は ひとりの男性スタッフを推薦し、指導することに決めた。
彼に打ち明け、覚悟をきめてもらい、一年に及ぶ計画が進められた。
 
彼は 期待に応えて、社長・専務・スタッフへの信頼を少しずつ勝ち取ってくれた。
 
辞めるにあたり、問題はそれだけではなかった。
 
過去に辞めた人の中には、会社を裏切るかたちで スタッフをこっそり引き抜いたり
会社にいやがられるような独立の仕方をした人もいたことだ。
そんな時、社長や専務だけではなく 私達スタッフもイヤな気分になるものだ。
私は それだけは避けたかった。
私は 思う。
どんな言い訳があるにしても、今の自分があるのは SHIMA というフィールドがあったからである。
その恩を絶対忘れてはいけない。 一生 忘れてはいけない。
入社したいと願い 頭を下げたからには、辞める時にも 感謝で頭を下げるべきだと思う。
思いあがってはいけないのだ。
 
私は これからの希望をできるだけ素直に話し、会社の意見も伺った。 
私の希望は、慣れた場所である代官山で独立したい・・・ということ。
会社の条件は、スタッフを引き抜かないこと。
もともと 私は、引き抜くつもりはなかったので問題はなかった。
 
もう一つの心配は、付き合っていた今の主人とのことである。
最初の相談の時に、付き合っていることも話してあったが 
偶然 同時に 彼の退社が決まったことで、一緒に独立するのかと穿鑿(せんさく)された。
彼は 私とは別に、アパレル業界へのお誘いを受けていたため
割と突然な退社話であったようだ。
 
決意から一年以上が過ぎた頃、私の退社の日が決まった。
 
専務からは、独立する店舗で いい話があったら進めていいと言われたが
最後の日まで 集中したかったことと、いろいろ考えたかったことがあって
新店舗のことは、全く進めなかった。
 
いよいよ新しいフィールドに向けて、無事 円満退社することになるのである。
 
 
 

2009年12月23日(水)

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