年表

18) おさがり [自伝本『私のこと』]

私は 妹という立場上、 “おさがり” のものは多かった。
 
洋服は、男女の違いで あまり記憶にないのだが
モノに関していえば、大抵 おさがり品だ。
 
兄とは 仲も良かったので、あまりイヤな気は しなかったが
どうしても 思い出されることがある。
 
それは 自転車 だった。
当時、兄は 青い色の自転車に乗っていた。
それを おさがり される時期が やって来た。
お友達は、赤やピンクの真新しい自転車を見せつける・・・。
私も欲しい・・・ どうしても 青はイヤだった。
 
母が 父に 頼んでくれた・・・ 新しいのを買ってあげて、と・・・
と、思ったら 「赤に塗ってあげて!」 だった。
 
色のこともあったが、形が旧式だ。
当時、いわゆる ママチャリ型の女の子らしい形が欲しかったのだが
兄の自転車は、まさに 旧式サイクリング型だった。
 
≪塗ればいいってもんじゃないって!≫ と
心の中で叫んだのだが 遅かった。
 
父の満足そうな顔と 几帳面に塗られた変身後の赤い自転車が
私の笑顔を待っていた。
 
あーあ・・・。
 
でも、後で聞いたのだが
あの時は、母なりに 祖父に気を使ったようだった。
まだ 乗れるモノを無駄にしてはいけない・・・ということだ。
子供を甘やかさない、モノを大切に使う・・・確かに正しい。
話してくれた母の言葉を 素直に受け止めた。
なぜなら
中学生になった私に 初めて新しい自転車を買ってくれた時だったから・・・。
 
≪いろいろあるんだなぁ〜 大人って・・・≫
 
そう 思った私だったが、今 3人の子供達を前に
確かに 何かをガマンさせることは、大切だと感じている。
 
欲しいモノをすぐ買ってもらえる
イヤになったら すぐやめる
待てない
大切にしない
 
これらは 決して よくないはずだ。
私も 子供達に “ガマン出来るんだ!” という機会を 少しずつ 与えている。
そして、きちんと話をしてあげることが重要である。
大人になっても 大切なことで
いわゆる “ストレス” に耐えられる 力 だ。
 
すべてが うまくいくわけではない。
その時 どう考えて次へ進むか だ。
 
すぐに “キレない” ためには
自分の考え以外のことも 受け入れることが出来ること、もしくは
自分の考えを きちんと相手に納得させる話術(オーラ)を持っていること。
 
つまりは、それらを会得するためには
幼い頃からの訓練が不可欠なのだ。 
 
私にとって “赤い兄チャリ” は 人生勉強だったのである。
 
 
 

2009年01月20日(火)

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