年表

82) 兄の結婚 [自伝本『私のこと』]

5才年上の兄は、25才で結婚した。
 
我が兄ながら、おもしろいエピソードがある。
 
兄が 高校3年生くらいのある日
母が いきなり、「お兄ちゃんには、彼女いると思う ? 」 と聞いてきた。
私は 素直に、「聞いたことないけど・・・いないんじゃない。」 と答えた。
「やっぱり・・・ 」 と、母は 残念そうだった。
その後も、この話は盛り上がり
5才も離れているが 妹の私の方が 結婚も早いだろうと、二人は決めつけていた。
 
彼が 大学生の時も、私達は 彼の恋話に関して 全く知らなかった。
 
そんな、母からすると “ノーマーク ” だった兄に
ある意味 裏切られる日が訪れたのだ。
 
私は 当時、東京の美容学校へ行っていたので
これは 全部 後に 聞いた話である。
 
大学卒業後、地元に戻り 就職した兄が、両親に
「会わせたい人がいる・・・。」 と、切り出した。
後日、兄は一人の女性を家に連れて来た。
突然だったので、両親は かなり驚いたようだった。
いろいろ話を聞くと、とても印象の好い女性だったが
姉妹の長女で、できれば お婿さんが・・・という難題が待っていた。
両親は、悩んだ末に 
「お婿には出せないから、まだ別れられる間柄なら別れて欲しい。」 と言い
兄も 「わかりました。」 と、それを呑んだ。
 
ここまで聞いただけでも 「え゛〜〜〜 」 の私だが、話は続く。
 
半年くらい経って、また兄が 「会って欲しい人がいる。」 と女性を連れて来た。
視力と記憶力の悪い母は、 ≪今度の人は・・・≫ と、よく見たら
以前 連れて来た、その女性だったのだ。
 
兄は、両親に筋を通して 一度は諦めたものの、やっぱりこの人と結婚したい・・・と言い
強いては、自分も婿には行きたくないから、彼女の両親を説得するために
協力して欲しい と、お願いしたのだ。
そうまでされた両親は
「そこまで考えたことなら応援する、やれるだけやってみろ ! 」
ということにならざるを得ない。
 
ここまで聞くと、兄達は 本当に ピュアに筋を通したのか、それとも、
道理を通せば 納得&協力 するタイプの父を味方につけるという作戦 ? 芝居 ? ? ?
など、私の頭の中は ずいぶん混乱した。
未だに、この話になると 兄は無口になる。
 
それからが、まるでドラマのような話だが
彼女の両親に 結婚を承諾してもらうために、兄は毎日 彼女の家を訪ねた。
 
最初のうちは、当然 門前払いであったため、ろくに話も聞いてもらえなかったが
さすがに 彼女のお母さんも 笑顔を見せるようになり
ある日、大雨で濡れた兄を とうとう玄関の中に入れてくれた。
お父さんの居ない時間をいいことに、徐々に 「まぁ お茶でも・・・」 と
やっと居間に通してもらった。
そのうち、まぁ ご飯でも・・・となり、ようやく結婚の話まで漕ぎ着けたわけだ。
 
その頃、兄は24才。
両親の承諾も整い、25才になってすぐの春に 結婚式を迎えた。
 
私からすると、思いのほか 堅実な兄と義姉に感服する次第だが
義姉からすると、兄のこの時の熱意は どこへ行ったんだろう・・・ と
今を悲しく振り返っているのである。
 
 
 

2009年09月15日(火)

ページのトップへ ページのトップへ

powered by a-blog