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68) 運命の一日 [自伝本『私のこと』]

クラスメイトの男の子に、家に遊びに来ないか ? と誘われた。
 
父親とマージャンをやる と言うのだ。
 
マージャンというと、あまり健全なイメージではないが
あのゲームは、頭を使う最良のゲームだと思う。
ただ、朝までコースと タバコの臭いと お金・・・ を除いて考えたいゲームだ。
 
まさに この日は、昼からの健康的なレクリエーションだった。
 
そのマージャンの席で、紹介された 父という人は
当時、業界雑誌の編集長をやっている方だった。
 
私を見るなり、 「あ〜、あの娘 !! 」 と言われ、私は ? ? ? だった。
先日の討論会を見に来ていて、私が偉そ〜に答えていたのを覚えていてくれたのだ。
 
ゲーム中にもかかわらず、会話は 私の就職する美容室の話で盛り上がった。
彼の息子であるクラスメイトの男の子は
もう 大きな美容室に内定しているようだったが
堅実に決めたい私は、まだ決めかねていた。
 
「一つ いい美容室があるよ、あなたにピッタリだよ ! 」 と言われ
すぐ その席で、専務という方あてに電話をかけていた。
 
SHIMA だった。
 
当時は、『嶋ヨシノリ美容室』 といって 業界誌に載っていたので
作品を覚えていた。 
実は 好きなヘアーデザインだった。
 
それまで、何でも自分で決めてきた私にとって
最も大切な “就職” という時に
紹介されたお店というのは どうなんだろう・・・ とは思ったが
そのお店の名前を聞いて、私の気持ちは  ≪ビンゴ !! ≫  という瞬間だった。
 
早速、面接する という。
 
ジャラジャラと うるさい音の中で
第一歩 踏み出した という胸の高鳴りを覚えている。
 
理由はともあれ、私が SHIMA を受けるための背中を押してくれたお父様とは
これが 最初で最後となった。
お礼が言えないまま、何年か後に もう会えなくなってしまったのだ。
 
それを聞いた時、心の中で ≪私は もっと やらなければ・・・≫ と
気合いを入れ直したのである。
 
 
 
 



2009年07月17日(金)

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